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2018/07/06 15:03


 

 

 

ーいかなる創造活動も、はじめは破壊活動だ。

 パブロ・ピカソ(1881-1973年)は生涯で最も多くの作品を創作し、フランスの画家、ジョルジュ・ブラックと共にキュビズムの創始者として知られるスペイン・マラガ生まれの芸術家です。油絵や版画、彫刻など芸術を表現する方法も多作であると共に、青の時代、薔薇色の時代、キュビズムの時代など、常に作品に対して進化を求めながら晩年に渡って画風を変化させていった事でも有名です。その代表作は「泣く女」、「アヴィニョンの娘たち」、「ゲルニカ」を始め多数に上ります。


 

 

 その才能は若年期から芽生えており、わずか8歳にして驚くほど写実的なデッサン画を描き、ピカソの父親は息子のそうした才能を目の当たりにしたために筆を置いたという説もあります。1890年代は主に父親や美術学校の指導のもとで描き続け、スペインにて幾つかの賞を受賞します。そして16歳を迎え、絵画に対する独自の考えを持ち始めていたピカソは学んでいた美術学校を中退し、バルセロナにて他の画家と交流しながら自分のスタイルを求めて創作活動に没頭します。その後友人の死をきっかけに深い悲しみを青色で表現した「青の時代」を経験し、恋人と関係を反映した「薔薇色の時代」、フランスの画家ポール・セザンヌに魅せられた「セザンヌ的キュビズムの時代」など、出会った人々からの影響を受けながら次々と画風を変化させていきます。またその頃は既に富と名声を得ており、商業的な美術分野が発展し始めた時代背景も手伝ってピカソは画家としての地位を着実に築き、一部からは酷評を受けながらも斬新かつ難解とも言える時代を先取りした作品を創作し続けました。


 


  こちらは生前の1972年に描かれた作品、「若い画家」のリトグラフです。原画の所蔵元はピカソ美術館に帰属し、1980年フランスにて限定部数5,000部で制作されました(エディションナンバーは一部モザイク処理しております)。ピカソと言えば平面を立体的に描いたような、あるいは特定の視点が存在していないようなキュビズムスタイルを思い浮かべますが、ある意味ではこちらの「若い画家」はそうした作品とは対照的で、趣のある自画像を描いた写実的な要素が含まれています。1973年に逝去したピカソにとって「若い画家」は最晩年の作品としても知られていますが、あらゆる技法やスタイルを生み出した末の最後に到達した作品という観点から見ると、全ての技法を集約させると共にその表情はどこか穏やかで、あらゆる観念から開放されているようにも感じます。

 

 


 生涯を通じてハトと闘牛を愛したピカソは、交際を重ねてきた多くの女性に対する愛情も情熱的だったことで知られていますが、画家として影響を受けたゴッホやセザンヌ、共に創作活動を行ったジョルジュ・ブラック、交友関係にあったココ・シャネルなど、基本的に人間が好きな人物であったように思えます。周囲の環境に呼応するかのように画風を変化させていった背景には、そうした人間模様が大きく関わっていたのかもしれません。個性が突出した数々の作品群に対する評価は今でも賛否両論ありますが、ピカソがもたらした革命の足跡は鮮明に残っており、芸術界の巨星は現在においても輝き続けています。

 

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