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2018/05/31 20:57
吹き出し入りのアメリカンコミックのような、インパクトのあるアート作品をご存知の方も多いと思われます。ニューヨーク生まれのロイ・リキテンスタイン(1923-1997年)は、平面性を強調した抽象表面主義と言われるポップアート画家として有名なアーティストです。力強い曲線と原色とのコンビネーションで、シンプルでも一目見たら記憶に残るユニークな作風が特徴です。1960年代初頭にミッキー・マウスを題材にした作品を制作し、自らメッセージを発信する芸術絵画としてはコミックの方が表現力を持っていることに気付いたことから、これらのスタイルを生み出したと言われています。
一部メディアから批判的な意見を浴びせられながらも、それらをエネルギーに変えながら作品を制作し続けていたリキテンスタインに対して、早い段階からその才能を見出したのが、芸術家の街として知られるニューヨーク・ソーホー地区でギャラリーを運営していた画商・Reo Castelliでした。イタリア生まれのCastelliは1957年に自宅の1室を利用したギャラリーをオープンし、リキテンスタインを始めロバート・モリス、ジャスパー・ジョーンズ、アンディ・ウォ―ホルなど、名立たる現代美術作家の作品を取り扱いました。後の1971年にはウェストブロードウェイにて第2スペースを開設し、そこでも新たな芸術家の養成や促進に携わり、現代美術の立役者として確固たる地位を築きます。
こちらの広告アートは、Castelli氏がウェストブロードウェイにてギャラリーを運営していた際に起用されました。1979年発行の雑誌内に登場した当時のもので、端部分にはPrivate Collectionと記され、リキテンスタインの作品を個人のコレクションとしても所有していたことが伺えます。額装サイズは縦27.5cm x 横38.5cmで、光沢のある木製フレームとガラス面材、そして白黒のダブルマット加工を施して丁寧に収められています。リキテンスタインとCASTELLI GALLERYの歴史を辿る資料をインテリアとして、身近にニューヨーク・SOHOの雰囲気を味わってみられてはいかがでしょうか。
ポップなデザインやカラフルな色使いも目を引きやすいことから、リキテンスタインの作品はファッションシーンにも登場し世界中の人々を魅了し続けています。 コミックを芸術的なアートへと昇華させたその功績は多大で、過去には批判を受けながらも独自のスタイルを貫いた精神力と直向きさを持ったリキテンスタインは、一人の人間としても魅力的な人物だったのかもしれません。
BASE Mag. https://thebase.in/mag/afterdark-base-shop/2018/05/31/205755
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